本日の一冊
最近ひさしぶりに読み直した本。
「人を動かす」D・カーネギー著
本書との出会い
「人を動かす」といえば不朽の名作として知られる一冊ですよね。
人間関係の原理原則を様々な事例を通して教えてくれるコミュニケーション術のバイブル本。
全世界で1500万部を売り上げ、邦訳版も累計500万部の歴史的ベストセラーになっています。
読んだことがなくても、この表紙を一度は見たことがある方が多いはず。
私が最初に本書を知ったのは、高校3年生の頃。
後輩の子から教えてもらったと記憶しています。
その子は親からすすめられて読んで感銘を受けたと言っていました。
その時はなんだか読みづらい本という感じで、最初の数ページで挫折してしまったのですが、20代になってようやくちゃんと読みました。
読み返すたびにいろいろな気づきをくれる貴重な本です。
人から好かれたいなら関心を◯◯に向ける
さて、いきなりですが本書からクイズです。
・牛・ニワトリ
・カナリヤ
・犬
この中で、他の動物とは違った方法で人間から好かれる動物はどれでしょう?
正解は犬!
何の働きもせずに 生きていける動物は、 犬だけだ。
鶏は卵を産み、牛は乳を出し、カナリヤは歌を歌わなければならないが、犬はただ愛情を人に捧げるだけで生きていける。
本書より
カーネギー氏によると、犬は人から愛される天性の素質をもっているそうです。
彼らに近づけば尾をふり始めて、立ち止まってなでると、夢中になって好意を示してくれますよね。
なんの下心や魂胆もなく、ただ私たちに関心を持ち愛情を注いでくれるのです。
カーネギー氏も幼少期にティピーという子犬を飼っていました。
ティピーは人間のように心理学の本を読めませんが、不思議な本能で人から好かれる原則を知っていたのです。
その原則とは、 純粋な関心を寄せること。
相手の関心を引こうとするよりも、相手に純粋な関心を寄せるほうが、はるかに多くの知己(ちき)が得られるということを、 ティピーは不思議な本能から知っていたのである。
本書より
友を得るためには相手の関心を引こうとするよりも、相手に純粋な関心を寄せる方がずっと大事ということですね。
簡単に聞こえますが、ついつい私たちは相手の関心を引こうとする行為をしてしまいます。
カーネギー氏によると、基本的に人間は他人には関心をもっておらず、ひたすら自分のことに関心をもっている生き物だそうです。
大勢で撮った集合写真を見た時 、誰の姿を真っ先に探しますか?
ほとんどの人は最初に自分の姿を探すでしょう。
私たちは自分で思っている以上に自分のことしか考えていない生き物なのです。
なので、単に人を感服させてその関心を呼ぼうとするだけでは味方を得たり、心から信頼できるパートナーや友人を作ることはできません。
例えば素敵なパートナーを見つけたいと思う時、相手にとって魅力的な人間になろうと自分磨きに精を出すことがあります。
めずらしい習い事やすごいと言われる資格の取得、etc。
もちろん向上心があるのは素晴らしいことに違いありません。
でもカーネギーの言葉に当てはめて考えると、これらは相手の関心をひこうとする行動。
人から好かれる原則である「相手に関心を寄せる」からずれてしまっています。
なので、自分を好いてくれるパートナーが欲しければ、まずは相手の関心ごとに興味を示して、話を楽しく聞いてあげる方がずっとうまくいくはずなのです。
もう一つ例をあげると、 新しい人間関係を手に入れようと、SNS上でリアルの世界の自分と別人のような発信している人。
高級外車、時計、ブランド品、現金の札束など。。。
これも残念ながら見当違いな努力に当てはまってしまいます。
みんなが憧れるような写真をSNSにアップすれば、いつもよりたくさんのいいね! がもらえるかもしれません。
でもこれは一時的な現象にすぎず、本当に心から関心を寄せてくれているわけではないですよね。
カーネギーの言葉に従うとすれば、新しい友人を得たい場合、関心の方向を自分ではなく他者に向けることが必要。
もしSNSを使って友人を作りたいのなら、自分の写真の投稿に注力するよりも友人になりたいと思う人の写真にいいね!やコメントをして、その人への興味、関心を示したほうが効果的ということになります。
「関心を自分ではなく相手に向ける」
愛されたいのなら、まずは自分が他人を愛せよということですね。
人に好かれる6原則を実践して好転した人間関係
人に好かれる6原則
1、誠実な関心を寄せる
2、笑顔を忘れない
3、名前を覚える
4、聞き手にまわる
5、関心のありかを見ぬく
6、心からほめる
本書より
私は以前とあることがきっかけで、頻繁にパーティーイベントを主催するようになりました。
イベントを始めた頃、当日はいつも頭がいっぱいいっぱいの状態。
時間配分や諸々に気を取られ、参加者とじっくりお話しすることができませんでした。
特に初めて参加した方には疎外感を感じさせてしまい、申し訳ないなぁと思っていました。
その後「人を動かす」を読んで人に好かれる6原則を知り、さっそく参加者との会話の中で実践し始めたのです。
すると、一人一人と実際に話す時間はあまり変わらないのに、 今までより相手との心の距離を縮めることができ、自分に対してもっと親近感を感じてらえるようになりました。
こちらが聞き手にまわることで相手の興味関心に気づけ、「あの人となら会話が合いそうだな」と人を紹介したり、参加者のフォローアップもしやすくなりました。
その結果、リピートしてくださる方が増え、毎回人数制限を設けないといけないほどにまで拡大したのです。
私がしたのは、お会いした一人一人に対して原則1〜6を行っただけ。
たったこの6つのステップを踏むだけで、今までよりも格段に人から信頼していただけるようになったのには驚きでした。
また、もともと人見知りだった私でもどんどん知らない人と話すのが楽しくなり、対人能力が磨かれていくのを実感しました。
年齢、性別、生い立ち、学歴、職業、交友関係、etc…
こんな先入観というフィルターを外して素直に相手の存在に関心を寄せる。
こんな風に接していると、どんな人でも必ず自分よりも優れた点があり、自分の知らない世界を持ってるということにも気づけます。
また人をよく観察すると、相手が密かに発信しているメッセージに気づく訓練にもなります。
これを続けると、相手が潜在的に気づいて欲しいと思っている部分をほめてあげられるようになり、感謝される機会が増えていくと思います。
(まだまだ勉強中ですが。。。)
この本から得たヒントのおかげで、人との関わり合いを今まで以上に楽しめるようになりました。
無理なく人を動かすコツ
本書より
人を動かす秘訣はひとつしかない。自らが動きたくなる気持ちを起こさせることだ
「北風と太陽」というイソップ童話を知っていますか?
子供の頃に読んだという方も多いと思います。
息子に読んであげたい本のひとつ
なぜこの本を取り上げたかというと、カーネギー氏が説く「人を動かす秘訣」を理解するのに良い例だからです。
知っている方が多いと思いますが、説明するとこんなお話です。
ある日のこと、北風と太陽が言い争いをしていました。
僕はなんでも吹き飛ばせる!一番強いのは僕だ
確かに君には力がある。でも一番強いのは僕だよ
どちらも引きません。
そこで、どちらが本当に強いのか力比べをすることになったのです。
「あそこに歩いている旅人がいるから、彼の服を脱がせたほうが勝ちってことにしよう」
ということになりました。
まずは動いたのは北風。
あの旅人の服を吹き飛ばしてみせるよ
と言って、「ビュー!」と、冷たい風を旅人におもいきり吹きつけました。
なんて寒いんだ!
旅人はさらに一枚服を取り出して、重ねて着込んでしまいました。
それでも北風は負けまいと、
「ビュー!」と、冷たい風を旅人に吹き続けました。
するとどうでしょう。
旅人は飛ばされないように、さらに服をしっかり押さえ、体を前かがみにして歩き続けたのです。
北風は、とうとうあきめてしまいました。
今度は僕の番だね
太陽はそう言うと、まず、ポカポカと暖かく、やさしい日差しを旅人に照らしました。
ポカポカといい陽気になってきたぞ
旅人は重ね着していた服を1枚脱ぎました。
そして、太陽はさらにやさしい日差しを当て続けました。
だんだん旅人は汗ばんできて、ちょうど川沿いがあったので、一休みすることにします。
その時太陽は、ここぞとばかり、ジリジリと強い日差しで旅人を照りつけ始めました。
こりゃたまらん!
旅人はそう言って、服を全部脱ぎ捨て目の前の川に飛び込みました。
この話の解釈は人によって違うと思いますが、わたしは「人を動かす」本質が隠れていると思います。
旅人に上着を脱がせるという目的に対して、北風と太陽は正反対のアプローチをとりました。
両者の違いとは、北風が力ずくで脱がせようとしたのに対して、太陽は旅人に自らの意思で上着を脱ぎたいと思わせたこと。
北風のように強引に人を動かそうとすると、相手は抵抗します。
逆に、太陽のように相手の状況を考えた上で行動すれば、こちらの思い通りに動いてもらうことができるということだと思います。
自分の意思でそうしたいと思わせること。
恐怖を与えてくる人の言うことは信じられないし、相手の思い通りになるものかと抵抗します。
逆に、安心感を感じられれば、相手は自分の意思で自ら動きたくなるのです。
頭ではわかっていても時間がなかったり、心に余裕がないと、なかなか相手の立場に立ってじっくり考えることって難しいですよね?
そんな時、私はある質問を自分自身に問いかけて、要求を押し付けたい衝動にブレーキをかけています。
その質問とは「相手のタイミングは今?」
こちらが今すぐやってほしいと思っていても、相手にとってのベストなタイミングは今ではないかもしれません。
相手には相手なりの考えがあり、行動を起こしたいと思うタイミングがあるはずなので、そこをきちんと尊重することを大切にしています。
恥ずかしい話ですが、私も以前はパートナーに対して、あれをやってほしい、これをしたほうがいい、なんで今やらないの?と口うるさく言っていました。
そうしたらある日、いつも穏やかなパートナーから
「なんでいつもそっちのタイミングに合わせないといけないの!?自分のタイミングでやりたい。強制するような言い方をされるとやる気がなくなる」
と言われてしまったのです。
この一言で、私の強制するような口調のせいで、相手の変わりたいという気持ちにストップをかけて、やる気を奪ってしまっていたと気づきました。
この苦い経験から学び、今ではしてほしいこと、変えてほしい行動があっても強制しないよう気をつけています。
それよりも今より良い未来を想像できる話をしたり、変化によって得られるベネフィットだけを伝えて、あとはじっくり相手のタイミングを待つように。
その結果、キーキーとムキに口うるさく言わなくても、相手が自分の意思でこちらの思い通りに動いてくれることが多くなりました。
せっかちな性格なので忍耐力を養う訓練にもなります
最後に
「人を動かす」は世界中で読まれている不朽の名作ですが、最初の数ページであきらめてしまうという声を多く聞きます。
翻訳書ゆえ言い回しが不自然だと感じ、ギブアップする人も多いようです。
私も最初はそれが原因でお蔵入りさせてしまいました。
そこでおすすめなのが ”耳読”。
読みづらいなと感じる本でも、耳から聞くと意外とがすんなり頭に入ってきます。
本書も今回は家事や運動の合間に耳読しました。
2倍速で聞いたのでほんの数日で聴き終わりました
私はKindleユーザーなので、電子書籍版を購入してiPhoneのアシスティブタッチ機能を活用しています。
アシスティブタッチ機能を使えば、わざわざ指で画面をスワイプする手間が省けます。
設定の仕方をまとめてくれている便利なサイトがありました。
【めちゃ便利】Kindleの読み上げを使ってオーディオブック化する方法
難解な文章でも耳からだとスルスルと頭に入ってくるので、挫折せずに読破できますよ。
ただ読み上げ音声が機械的なので人によっては聴きづらかったり、漢字の読み違いもあります。
私は大して気になりませんが、集中できないという場合は普通に目で読むか、オーディオブックを活用することをおすすめします。
「人を動かす」のオーディオブックはAudible(オーディブル)で見つかります。
初回は最初の1冊は無料なので、ぜひこの機会に読んでみてはいかがでしょう?
何十年にもわたって読み継がれる本だからこそ、一度はちゃんと読んでみたいものです。
最後までお読みいただきありがとうございました。